見た目にもこだわる、ウイスキーの粋な飲み方&探し方

世界有数のウイスキー生産国である英国で、30年以上にわたってウイスキーに関する書籍や記事を書き続け、またウイスキーを題材にした映画『天使の分け前』にも専門家として出演した著名人、チャールズ・マクリーン(Charles Maclean)氏。

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そんな彼が監修した書籍のひとつに、2009年発行の『World Whisky』があります。700以上ものウイスキーに加えて、各地の蒸溜所、歴史、ボトルやグラスに至るまで、ウイスキーに関する情報が網羅されています。2010年にドイツ語版の『Whiskys der Welt』、2013年に日本語版の『世界ウイスキー大図鑑』として翻訳出版され、2016年9月にはフランス語版も登場しました。愛好家はもちろんのこと、ウイスキーを飲まない人でも十分に楽しめるフルカラーの図鑑です。

市場には、「モルト」「バーボン」「ライ」あるいは「アイリッシュ」「スコッチ」など、ウイスキーを大ざっぱに示すにとどまるカクテルレシピも多く存在しますが、この『世界ウイスキー大図鑑』に載っているカクテルに用いるウイスキーは、山崎12年、ラフロイグ10年、サゼラックといった具合に銘柄まできちんと示されています。

これは例えばバーボンならバーボンでも、原料穀物の構成比率、熟成年数、蒸溜や樽詰め時のアルコール度数などの諸条件によって風味は多岐にわたり、同じレシピでありながらウイスキーの銘柄によっては全然違うカクテルになり得るからです。

無数の組み合わせから自分にとって最適なバランスを見つけ出す、大人の楽しみ。50 ml のミニボトルであれば種類の違うウイスキーを手軽に揃えられますので、こういうものを上手に使いながらいろいろ試してみるのも一案です。

グラス内に起こる複雑な現象と味の変化

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ところで主にエタノールと水からなるウイスキーは、わずか1滴の水、1塊の氷が加わるだけで味や香りが変化する不思議な飲み物です。水を加えると香りが立ち、氷を加えると逆に香りが抑えられるというのは愛好家なら一度は聞いたことがあると思いますが、それだけでなくグラスの中では非常に複雑な現象が起きている可能性があるのです。

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エタノール分子は水分子と親和する構造を持っているため、従来、熟成など長期的には時間が経つにつれて分子の親和度が増し、それが熟成後の「まろやかさ」につながるのだろうと考えられていました。ところが最近になってウイスキーの中で水分子とエタノール分子が互いに混じり合わないことがわかってきており、そう単純な話ではないとされています。

一方、ウイスキーの味わいの変化は長期的に起こるだけでなく、グラスの中でも起こります。もちろん樽の中とは規模も時間も違いますが、水や氷によって単に全体が薄まるだけにとどまらないことは、おそらく間違いないでしょう。ウイスキーの中で氷がとけるにつれて風味が変化する理由も、近い将来に解明されるかもしれません。

ウイスキーのアルコール度数は、樽から直接瓶詰めされる「カスクストレングス」で60度前後、加水希釈して瓶詰めされた商品では比較的多いのが40~43度ですが、その比重はというと、おおむね、カスクストレングスで0.90~0.91、加水されたものなら0.93~0.95のあたりになります。水の比重は1.0で、水をグラスに入れてウイスキーを静かに注ぐと上層にウイスキー、下層に水の2層に分かれるウイスキーフロートができるのはこうした比重の違いによるものです。

なお、氷の比重は約0.92なので、オンザロックでは氷より比重が小さいウイスキーを注げば氷が沈んだままになり、逆ならば氷は浮かびあがります。ただし、いずれにせよ時間が経つと氷は当然ながら少しずつ溶けていき、溶けてできた水は下に沈み、その代わりにウイスキーが上に移動する「対流」が生じます。これにより氷より温度の高いウイスキーが次々と氷に接触するため氷はどんどんとけていきます。その動きは、たとえばアルコール度数40度程度のウイスキーを常温でグラスに注いで角氷を1個入れると、浮かんだ氷があっというまに溶けるほどのスピードです。こうなると、グラスに入れたウイスキーの風味は短い時間で大きく変化してしまいます。

また、糖などにより比重が水より大きいカクテルに氷を入れた場合では、溶けた水はカクテルより軽いのでグラスの上のほうに集まり、結果として飲んだときに水っぽくおいしくないということになりかねません。氷で冷やして美味しくしようとして、その氷によって味を損なってしまっては本末転倒です。こうした氷による影響はできるだけ避けたいものだと思います。

味の変化を防ぐ保冷・冷却バーアクセサリー

このような需要に応えてくれる、アメリカ発の小粋なアイテムがあります。ステンレス製のバー用品で、これを使えば、「溶けない氷」を手に入れたも同然です。

角氷の代わりには、「ロボール ウィスキー スフィア(L)」または「ロボール ウィスキー スフィア(M)」。標準的なロックグラスはもちろん、Mサイズなら背の高いグラスでもおしゃれに使えます。ウイスキーカクテルにはあまり使われることのないブランデーグラスをあえて選び、Lサイズのスフィアを1つ沈めてみるのも面白いかもしれません。

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一方、小さめのカクテルグラスやシャンパングラスには、スリムなブレットで。

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どれも浮かぶことがないため、色の濃いカクテルなら、見た目にほとんど影響せずに使えます。あるいは金属マグの中に積み重ね、あえて少しだけ液面から露出させて、容器との「コーディネート」を楽しんでみても。

透明感のあるカクテルなら、背の高いグラスに四角い氷と丸いスフィアを交互に入れ、グラスの中で「アート」を楽しむ方法もありますね。この使い方だと氷をゼロにはできませんが、ウイスキー本来の琥珀色とは違う色彩になるカクテルだからこそ、芸術性を追求できます。

他にもグラスやマグの色、大きさ、形、カクテルの色などに応じて、様々なアレンジが可能だと思います。「保冷・冷却効果」の一覧なども参考にしながら、味と見た目の両方で、究極の1杯を生み出してみてくださいね。

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【参考文献】 チャールズ・マクリーン 監修 『世界ウイスキー大図鑑』 (柴田書店) 古賀邦正 著 『ウイスキーの科学 : 知るほどに飲みたくなる「熟成」の神秘』 (講談社) 古賀邦正 著 「ウイスキーは考えている(4) 貯蔵工程とエタノール/水の愛憎劇」 『ニューフードインダストリー』 56(7):2014.7 (食品資材研究会) 古賀邦正 著 「ウイスキーは考えている(4) 貯蔵工程とエタノール/水の愛憎劇(後編)」 『ニューフードインダストリー』 56(8):2014.8 (食品資材研究会)


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